個展 Q&A
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個展の時は毎回、いらして頂いた方とのお話が楽しみです。
ご来場下さる方は、ドールハウスが大好きという方がほとんどですので、
本当に話が尽きません。お話している中から、ドールハウスについて頂いた
質問をいくつかまとめてみました。

Q:ひとつの作品を仕上げるまでにかかる時間は?
A: 実際に製作にかける時間よりも、構想を練っている時間や材料集めの時間に相当長くかけています。作品によっては3年以上、準備期間を費やしているものもあります。作りたい作品のテーマが決まったら、時間をかけて必要な材料やミニチュアパーツを集めていきます。イメージに合う気に入ったミニチュアにすぐ出会うことが出来ればよいのですが、なかなかそう簡単にはいかないところが時間のかかる所以で、それが大変でもあり、また、楽しいことでもあります。

材料がだいたい揃った時点で、実際の製作に取り掛かります。いったん作り始めると割りと早いのですが、作品によってだいたい1週間〜1ヶ月くらいで仕上げます。


Q:材料やミニチュアはどこで手に入れるの?
A: 国内外のドールハウスショーまたはインターネットで手に入れています。国内でしたらジャパンギルドショー東京インターナショナルミニチュアショー、アメリカは毎年フィラデルフィアのショーに行っています。私はミニチュアの販売も行っていますから、国内外のミニチュア専門の問屋さんで買うこともあります。

普段使う材料など・・・ペイント類や木材は、国内のいわゆるクラフトストア、具体的には東急ハンズユザワヤなどで調達しています。その他、画材屋さんや模型店、文具店、手芸店、電気量販店など、ドールハウスと直接関係のないお店でも、ミニチュアに使えそうなアイテムが見つかることがたくさんあります。ドールハウスの照明関係では今回、「ミニチュアライトの世界」の大田さんに大変お世話になりました。


Q:ドールハウスは12分の1でなければいけないの?
A:いけないという決まりは何もありません。個人的に12分の1サイズが好きなんです。縮小スケールを統一することでリアリティ(本物らしさ)を出せますし、私の場合、自作のミニチュアだけでなく、作家作品や既成のミニチュアもたくさん取り入れますので、アイテムが豊富に揃っている12分の1が一番都合がいいのです。


Q: どんな気持ちで、作家作品を飾るの?
まず、この質問を下さった方はおそらく、「すべて自分で手作りしたい」というドールハウス作りのスタイルをお持ちの方なのかもしれません。私の場合、もともとミニチュアの世界にはコレクションをすることから入ったので、自分が気に入ったミニチュア・・・作家作品・・・を購入し、自分のドールハウスの中に飾ることはごく当たり前のことに思っていて、この質問を頂いたときには一瞬「どういう意味かな?」と不思議に思いました。

ドールハウスが好きという人の中には、「すべて自分で手作りしないと気がすまない」という方も多くいらっしゃいますので、質問をされた方ももしかしたらそのようなお考えをもっていらっしゃって、既製品や自分以外の作家作品を多く取り入れる私のドールハウス作りのスタイルに、ある意味、疑問符(否定的な意味ではなく)を持たれたのかもしれません。

質問の答えとしては、「その作家作品に惚れたから」。ごく単純のことなんです。ミニチュアファンとして、お花や食べ物や家具、その作品をとても気に入ったから。そしてその上で作家さんに対する「憧れと感謝」でしょうか。作家作品を購入する時は、素敵だなぁ、可愛いなぁ、きれいだなぁ、よく出来ているなぁ、のどれかにあてはまる時なのですが、実際にドールハウスの中に飾るときもおんなじ気持ちです。そして、ドールハウスが出来上がった時は「素晴らしい作品をありがとう!」と、作家さんへの感謝の気持ちでいっぱいになります。




Q: ドールハウス作家で、食べてゆける?
A: この質問は、学生さんなど若い方から多く頂きました。

個人の生活・家庭環境や、どの程度収入を得たいのかにより、必ずしも食べてゆけないとは言い切れないし、逆に、食べてゆけるともいえないと思います。特に日本の場合、ドールハウス自体あまり知られていないこともあり、仕事としての需要は多くないというのが現状です。

私の知る限り、会社経営などはしていない、全く個人のドールハウス作家として生活をしている方というのは、ほんの数名しかいません。会社経営の場合でも、実は別の分野でもご商売されていたり、別な会社を経営していたりと、ドールハウスとは別の収入源を持っている場合が多いです。作家を名乗っていても、副業を持っていたり、講師をしたり、既製品や量産品、材料などを輸入・販売することで収入の足しにしていることが多く、自作の作品を販売するだけで、生活費のすべてを得ている人は本当に少なく、また、実際に難しいことだと思います。

ただし、すでに自宅を持っているとか、女性であれば結婚しているなどの理由から、住居費・生活費がかからないという場合はまた別ですし、それに、もっともっと幅広く、全国的に教室を経営するとか、卸業を拡大するとか、欧米に進出するとか、作家+経営者としてならば、ドールハウス作家として食べてゆける可能性はあると思います。


Q: 作品の値段はどのように付けているの? また、値段がついているものと、ついていない作品との違いは?
かかった材料費のことも考慮には入れますが、完成した作品をなるべく客観的・総合的にみて、「どのくらいの価値があるか」ということを、自分なりに考えて付けています。

どの作品にも思い入れはたっぷり入っているのですが、中でも特に思い入れが強いもの・・・例えば、一点ものの人形や動物が入っていたり、贈り物として頂いたミニチュアを飾っている場合などがそうなのですが、そのような場合は値段をつけず、自分のコレクションとしてずっと手元に置いておきたいと思っています。


Q: 作品を売ってしまって、寂しくない?
7〜8年前、作家として活動を始めた最初の頃はそう思うこともありました。でも、今ではさほど思いません。作品の価値を認めて下さり、心から気に入って下さった方に買って頂けることは、寂しいよりはむしろ嬉しく、本当にありがたいことだと思っています。



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