スケールにこだわる個人的理由 

私が作るドールハウスは基本的に、実物の12分の1に統一しています。

"基本的に"という但し書きがついている理由は、
ドールハウスは、正確な縮小率が必要とされる建築模型とは違って、
多少のデフォルメが「個性」として歓迎される世界だからです。

ドールハウスを作り始めた中学〜高校くらいの時は、
12分の1に統一することを敬遠していました。
「いいじゃない、縮小サイズにこだわらなくっても。
小さくて可愛ければ、それでいいじゃない?」

なーんて、いっぱしにわかったふうに言っていました。
「こだわらない」と言ったほうが、
なんとなく格好いい感じがしていただけなのかもしれません。

でも、その考えも今ではすっかり変りました。

大学生になった頃からでしょうか。
特に、
スケールモデルがごく当然のように扱われている
アメリカのドールハウス専門雑誌に出会ってからは、
スケールモデル、つまり、スケールが統一されているのドールハウスのほうが
バランスがとれていて素敵だし、ずっと面白いと思うようになりました。

その理由は、

@ スケールが統一されていたほうが、
リアリティがある(=本物らしく見える)。
A 素晴らしい作家作品や既製品を、自分の作品の中に飾ることができる
B 決まった縮尺サイズ、そのルールの中でいかに個性を発揮するべく、工夫するか。

その
リアリティと工夫こそが、とても楽しいからです。

縮小サイズを統一すればするほど、より、リアリティのあるドールハウスに近づきます。
私のドールハウスは、作品のテーマ自体があまり現実的ではなくて、"遊んでいるもの"が多いので、
せめてスケールを統一させることで、リアリティを持たせたいという気持ちもあります。

やっぱり縮小サイズにはこだわらないで自由に作るほうが好きですか?
ええ、それも良いと思います。
スケールモデルを選ぶかどうかは、個人の好み。個人の自由。

私の尊敬するドールハウス作家の村上一昭さんは、
わざとスケールを崩して、独自の世界を作っていらっしゃる。
それはそれは素晴らしい作品です。

1つだけいえる確かなことがあります。それは、
村上一昭さんのようにスケールモデルをちゃんと知っていて、作ろうと思えば作れて、
それでいて「わざと」スケールを崩すことと、
スケールモデルを知らずに、ただ何となく小さく作っているために崩れてしまっているものとでは、
作品に、大きな違いが出てしまう場合があるということです。

その"違い"とは?

スケール統一にはこだわらないで作る、という人でも、
1度はスケールモデルを作ってみるとよいと思います。
逆に、スケールモデルばかり作っている人は、
1度はスケールを崩した世界に挑戦してみるのもいいと思います。

作らないまでも、両者の作品をよおく見比べてみるといいと思います。
両方の世界を知っていると、おのずとその違いがわかってきます。

その上、今まで気が付かなかった新しい発見が何かあるかもしれません。

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